三つの版表現から見る新人賞
沼津市山口源新人賞は、1983年の創設以来、若手版画家の優れた表現を顕彰してきました。山口源の名を冠した本賞は、版画という分野における新たな才能の発掘と育成を目的としています。
本展では、歴代受賞作品の中から「木版画」「銅版画」「シルクスクリーン」という三つの技法に焦点を当てて紹介します。
同じ技法を用いていても、作品の表現は作家ごとに大きく異なります。素材の扱い、線の質、色の重なり、構成の取り方ーーそこにはそれぞれの時代背景や作家の視点が反映されています。
版画は、同じ版から複数を生み出す技法です。しかし、その表現は決して均一ではありません。本展では三つの技法を通して、新人賞が育んできた版画表現の多様性をご覧いただきます。
それぞれの技法
[木版画]
木の板を彫り、インクをのせて刷る技法。木目や彫り跡が画面に現れ、素材の力強さが表れます。
[銅版画]
金属板を腐食させて線を刻む技法。繊細な線や深い黒が特徴で、緊張感のある表現が可能です。
[シルクスクリーン]
版を通して色を重ねる技法。明快な色面や構成の鮮やかさが際立ちます。
山口源新人賞について
沼津市では、本市ゆかりの版画家山口源(1896~1976)氏の偉業を顕彰するとともに、市民の芸術文化の向上を願って、昭和58年に「山口源賞」を制定しました。
毎年、日本版画協会の出品作品から将来性の認められる作品に授与。第9回より毎年2名、第35回より毎年1名が受賞します。
[受賞者一覧]
- 第1回(1983)
- 日向野桂子「長い夢」色彩銅版画
- 第2回(1984)
- 柿崎 兆「Falla Nana!」木版画
- 第3回(1985)
- 近藤 憲昭「Ziggurat」リトグラフ
- 第4回(1986)
- 大沢 秀直「セレモニーⅠ・Ⅱ」木版画
- 第5回(1987)
- 遠藤 竜太「変位の過程Ⅴ(均衡)」リトグラフ
- 第6回(1988)
- 古谷 博子「concerto」木版画
- 第7回(1989)
- 須永 高広「風土記(うたわれない歌)Ⅰ」木版画
- 第8回(1990)
- 中込 洋子「都市の記憶89-Ⅵ・90-Ⅰ」銅版画
- 第9回(1991)
- 横山 智子「壊れた風」木版画、銅版画
中村 桂子「balance(4)」孔木シルク版
- 第10回(1992)
- 菱田 俊子「ガラスのコップ(4)」シルクスクリーン
鈴木 金造「脱皮」銅版画
- 第11回(1993)
- 種田 瑞樹「F.U.K93-1」シルクスクリーン
戸嶋 由香「through」銅版画
- 第12回(1994)
- 石山 直司「TROUBLESOME HERITAGEⅡ」銅版画
田島 佳代「ASANTE」リトグラフ
- 第13回(1995)
- 寺島 徹「dejavu Ⅰ」銅版画
ひろはたゆうこ「花のかおるところに」板目木版画
- 第14回(1996)
- 伊達木明人「世紀末のソドム」銅版画
原 陽子「反射する道」凹版、凸版
- 第15回(1997)
- 小川 淳子「水流」木口木版画
辻 元子「リズム」リトグラフ
- 第16回(1998)
- 大下 百華「大きな流れにのって」木版画
宮崎 文子「Woman Ⅱ」リトグラフ
- 第17回(1999)
- 鈴木 良治「流転」リトグラフ
廣澤 仁「ソフト・マシーン」シルクスクリーン
- 第18回(2000)
- 斉藤 里香「dialogue with 9.80m/s2」木版画
花沢真由美「Radiant」銅版画
- 第19回(2001)
- 安田里栄子「The Color Scheme in Chaos」リトグラフ
尾田 美樹「夜さりの斜面」木版画、銅版画
- 第20回(2002)
- 桂川 成美「white squares」木版画
佐野 秀二「キレる富士山」リトグラフ
- 第21回(2003)
- 宮井 麻奈「ひょうひょう」リトグラフ
山下真美子「時の記憶」銅版画
- 第22回(2004)
- 小越 朋子「澱人」リトグラフ
二階 武宏「triple chain hoile」木版画
- 第23回(2005)
- 佐藤 美穂「止らない胸の痛みⅡ〜湿地帯〜」銅版画
鶴巻 貴子「one life、one day」銅版画
- 第24回(2006)
- 小竹 美雪「子供の遊び“舞遊”4」銅版画
鈴木 隆太「テープの残りあるか?今日のトップで使うぞ。」木版・シルクスクリーン
- 第25回(2007)
- 結城 泰介「In my Life2」銅版画
三田村直美「ポークスープ」銅版画
- 第26回(2008)
- 瀧 将仁「Figure'080101'」水性木版画
遠藤 美香「起床」水性木版、つけ墨
- 第27回(2009)
- 寺田 一行「HARUVISION#1」銅版画
武藤智佳子「ぜったいにとけない魔法-2」木版画
- 第28回(2010)
- 山田 彩加「森羅万象へ捧げる祈り」リトグラフ
右田 啓子「彼女のための最後の儀式」リトグラフ
- 第29回(2011)
- ツツミ アスカ「In the forest #02」 木版拓刷りを主としたミクストメディア
山田 彩加「手向けられた花をも、命と共に」リトグラフ
- 第30回(2012)
- 西村沙由里「山越え」銅版画
瀧本友里子「Generator」水性木版画
- 第31回(2013)
- 小林 麻美「お茶会」リトグラフ
中村 真理「Communicate」リトグラフ
- 第32回(2014)
- 中村 美穂「ある晴れた日の夜」水性木版画
濱田 路子「WFH」水性木版画に手彩
- 第33回(2015)
- 呉 窮「Noah's Boat」リトグラフ、アルミ板
中村 花絵「平凡な日常の断片 Ⅳ」シルクスクリーン
- 第34回(2016)
- 神山 千晶「秘密の庭」水性木版画
田中 唯子「限りない空間」銅版画
- 第35回(2017)
- 櫻井 萌香「REM sheep」銅版画
- 第36回(2018)
- 木村 美咲「夜を歩く」木版画
- 第37回(2019)
- 野田 千晴「皮膚呼吸」木版画
- 第38回(2021)
- 施 瑞文「the same space with two eyes Ⅱ」銅版画
- 第39回(2022)
- 五日市諒子「Chaos in Shibuya」リトグラフ
- 第40回(2023)
- 三宅 葵「2020.9.16 16:14」シルクスクリーン
- 第41回(2024)
- 王 敬昇「欄干会大壁画-6」リトグラフ
- 第42回(2025)
- 久野 龍之介「採録」銅版画